目覚めた人
- Hiromi
- 2021年10月10日
- 読了時間: 2分
サンスクリット語の “Buddhi (ブッディ)” は、発祥はインドですが、歴史的には日本によりなじみの深い言葉かもしれません。というのも、これを手に入れた人を “Buddha (ブッダ)” といい、言うまでもなく仏教の祖であるお釈迦様がそれに当たるからです。”Buddhi” は「目覚めること」であり、”Buddha” はまさに「目覚めた人」です。お釈迦様は、「目覚める」ためにさまざまな修行を積み、最終的に瞑想によって悟りを得ました。瞑想とは、外部の影響を一切断ち、ただ一人ひたすら無になって座ることです。それによって自我がどんどん剥がれ落ち、いったい何が本当なのか (宇宙の真理) が見えてくる、それが「目覚め」です。
ところで今、欧米で「目覚めた人」が増殖中だといいます。“Buddha” のような人が増えるなら素晴らしいことですが、どうもそうではないようです。彼らは英語で “Woke (ウォーク)” と呼ばれ、人種差別や性差別などの社会問題に敏感な人たちを指します。正義感が強く、差別に対して果敢に立ち向かうことは、一見とても立派なことのように思えます。しかし、彼らは往々にして、現状に特に不満を持っていない人にまで自身の価値観を押し付け、不快感を与えています。自分たちは正義のために戦っている戦士 (Social Justice Warriors) であると信じて疑わず、人々に「目覚めろ」と強要し、気に入らないものはすべて排除しようとします。さらにエスカレートし、過去の出来事をほじくり返してなかったことにする、いわゆるキャンセルカルチャーを先導しています。要するに、彼らは自我の塊であり、”Buddha” とは真逆の人たちなのです。“Woke” が多数派を占めるようになったとき、彼らにとって不都合な真実は一切閉ざされてしまうでしょう。“Buddha” を愛する国である日本には、せめてそのような悲劇が訪れないようにと願うばかりです。
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